徳間のゴホン!
第15回「いつもいっしょに」

わたしのおひめさま
エリサ・クレヴェン:作、絵 たがきょうこ:訳
クルリン
ミラ・ローベ:文 ズージ・ヴァイゲル:絵 斎藤尚子:訳

           
         
         
         
         
         
         
    
    
 「本を読み終わったあとも、物語の主人公といっしょにいたい…」今回は、そんな願いがかなう絵本を紹介します。
 まずは『わたしのおひめさま』。ある日、女の子が紙におひめさまの絵を描きました。服には葉っぱや花や、森の動物を、靴下には星をいっぱい、靴はスイカの皮の模様です。すると、色とりどりの衣装をまとったおひめさまが、満足そうににっこり微笑んでいるように見えました。女の子が、おひめさまをちょきちょきと切りぬき、「ふわふわの髪の毛をつくってあげよう」と思っているところへ、風がぴゅー。「まって〜、その子、まだ髪の毛がないのよ」と追いかけても、吹き飛ばされたおひめさまは、みるみるうちに手の届かないところへ飛ばされていってしまします。飛ばされた紙のおひめさまは、思いがけず、風にのって、冒険にでかけることになりますが…。はたして、女の子のところへもどってこられるでしょうか。好奇心が旺盛で、生き生きとしたおひめさまを描いた絵本です。本の最後には、自分で作るおひめさまの下絵がついていて、世界でたったひとつの自分だけのオリジナルのおひめさまが作れます。そのときは最後の仕上げまで入念に。くれぐれも髪の毛などお忘れなきように。
 主人公の作り方が載っているもう一冊は、オーストリアで長年愛され続けている絵本『クルリン』です。ハンカチでできたお人形のクルリンは、ひょんなことから生まれたばかりのヒヨコ王子の面倒をみることになりました。王子をつれて、散歩に出かけたものの、雨がざあざあふってきます。さあ、大変。これではヒヨコ王子が風邪をひいてしまいます。屋根のあるところへ行って、濡れないようにしなくっちゃ。古いむぎわらぼうしをみつけて、たどりつくと、そこはカエルのおじさんの家。「あまやどりをさせてください」と一生懸命お願いしても、おじさんは「雨はからだにいいんだぞ」となかなか入れてくれません。どんどんひどくなる雨に、ほかの動物たちもやってきて…。クルリンとちょっぴりわがままなヒヨコ王子のゆかいでかわいいお話。ハンカチ一枚とわたが少しあればできるクルリン人形は抜群のかわいらしさ! 本にある作り方どおり、簡単にできあがります。縫い目があらくても、そろってなくても大丈夫。それもまたご愛嬌ご愛嬌。
 でもこのクルリン、どこかでみたような。こういうの、前に作らなかったっけ。と、考えて思いついたのは「てるてるぼうず」。運動会や遠足のまえに、軒下にぶら下げたものでした。かわいいクルリンなら、御利益あるかな。試してみたい気がします。(星野博美)
テキストファイル化富田真珠子