やればできるよランドルフ

エレン・コンフォード/文
ローズマリー・ウエルズ/絵 前田三恵子/訳
国土社 2000

           
         
         
         
         
         
         
         
    
 ふくろねずみというのは、ふつうしっぽを木の枝に巻きつけて、ぶらさがって眠るものなのに、家族のなかでランドルフだけはそれができません。
 いくらやっても、頭からドスン! と落っこちてしまうのです。
「練習すれば、できるはずだよ」と父さんは一生懸命いうのですが、いくらやっても、ダメ。困ったランドルフは、ねばねばする木のしるを見つけてきて、接着剤の代わりに使う、というアイデアでしばらくしのぎます。
 でも、寒くなってきたら、もう木のしるはねばつかなくなってしまいます。
 そのランドルフのために、勝気な姉さんのジェラルディンが思いついたこととは……?
「やればできるんだよ」
「自信がないだけなんだ」
 口でいうのは至極簡単なことですが、いわれる身にとっては、たとえそうだとわかっていても、実行するのはなかなか大変なことです。
 どんな″はずみ″ででもいいですから、実際に一度、できるようにもっていってもらったほうが100回「できるよっ!」っていわれるより効くと思いません? 
 この下にはもう一人、末っ子らしくいつも憎まれ口をきく、暗闇を恐がるユージーンがいて『ゆうかんになったユージーン』という本がありますが、どの本もどの本も、結局解決しあうのは子どもたち同士で、親はなにもしていない(ただまわりで騒ぐだけで──)というのは実に感慨深いものがあります。(赤木かん子
『絵本・子どもの本 総解説』(第四版 自由国民社 2000)
『絵本・子どもの本 総解説』(第四版 自由国民社 2000)
テキストファイル化安田夏菜