毎日が夏休み

大島弓子
角川書店

           
         
         
         
         
         
         
     
 いままであの橋本治と、時代の先端をめぐって抜きつ抜かれつのデッドヒートを演じて参りました大島弓子が、とうとうトップに躍り出ました! 『毎日が夏休み』この地位は、当分ゆるがないでしょう。
 くらいのコピーをつけたら、読んでもらえます? マンガなんですけど。
 いままでもこのコラムでさんざん、絵本の見方を変えてくれー、絵本をチャンと認めてくれーと叫んできたけど、絵本以上に偏見と差別の激しいのが、いわずとしれたこのマンガ……。
 だいたい読みもしないのに批判するってのはファシズムだと思うしさ、いまはもうこういうマンガを読むティーンってのはクラスの中でもインテリで、高度なマンガについていけなくなった子たちが活字を読んでるんじゃないか、という現象も起きてるんだけどな(ぶちぶち)。
 いやあ、でもほんとこの『毎日が夏休み』はすごいよ。出社拒否の父チャンと登校拒否の娘サンと、夫にかえりみられないために「ミエ」に走ってる母親を描いて、三人ぜんぶ救ってるんだもの! こういう「状態」は描けても「救える」人はちょっどいないよ。特に「妻」を救える人は! そう、この話って「妻」を救っているんだよ。それも「夫」に言わせるひとことで……。ティーンだけでなく、日本の女性たちにこのマンガを贈ります。(赤木かん子)
『赤木かん子のヤングアダルト・ブックガイド』(レターボックス社 1993/03/10)
朝日新聞1990/04/08