ボスがきた

福井達雨・編集 竹内雅輝・絵 馬嶋克美・字
偕成社

           
         
         
         
         
         
         
    
    

 この絵本の舞台は、重い知恵遅れの子どもの施設「止揚学園」です。
 ある日、ここに子犬がもらわれてきます。名前はボスとつけられました。皆、うれしくてたまりませんが、ボスは元気がなく、ごはんを食べないし、「ワン」ともいいません。主人公のいっちゃんは、小さいとき、お父さん、お母さんと離れて、この止揚学園にきたので、ボスがさびしくてごはんを食べない気持ちがよく分かります。
 いっちゃんや園の子どもたちと、ボスとのほのぼのとしたふれあいが、子どもたちの行動や言葉に、しみじみと描かれています。
 燃えるような明るい色、心をえぐるような激しい色に、いっちゃんたちの純粋な心、やさしい気持ちが映し出されています。ボスの表情が、主人公の気持ちによって微妙に変わっていくのが分かります。
 絵と字は園生が描き、先生たちが子どもたちの言葉を拾い集め、園のリーダーである福井先生が編集してこの絵本ができました。
 (淑)=静岡子どもの本を読む会
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