びりっかすの神さま

岡田淳:作・絵
偕成社

           
         
         
         
         
         
         
    
    
 どうして算数ってやつは、りんごをわけたがるのかね。たまにはうめぼしとからっきょもわけてみりゃいいのに――算数の問題をときながらの会話もゆかいで思わず笑ってしまう。ちょっとふしぎで、おもしろくてやる気のでるお話です。
 テストでいい点をとろうと、がんばることが、いつのまにか競争になっていって勝ち負けがついてしまう。そんなのちょっとへんだってだれでも思うよね。
 この物語は一番は一番でも最もできの悪い一番をめざす男の子とびりっかすが主人公。
 四年一組に転校してきた始は教室の中でへんなものを見つける。二十aぐらいのすきとおった男で、くたびれた背広とよれよれのネクタイ、背なかには小さなつばさがある。その男にあうために始めはわざとテストで悪い点をとってしまう。なにしろその男は「おい、びりっかす」と呼ばれたときにからだができあがり、そういう気分や気持ちのより集まりらしい。心の中で話しかければおしゃべりもできる。まだ始には友達がいないし、第一ほかの子にはびりっかすが見えない。なんでもびりをとる始に、みゆきちゃんからは、いっしょうけんめいらしさがないっていわれちゃうし。
 しかし、そんなびりっかすって男は神さまでもなんでもないって? それは最後まで読んでみてください。(ト)=静岡子どもの本を読む会

テキストファイル化大塚菜生