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四月末。ピッカピカの小学一年生たちも、そろそろ小学生らしくなるころです。すこーしお姉さんお兄さんになって、保育園や幼稚園の子が、なんだかとても幼く見えたりするようです。わたしもぼくも、あんなだったのかな。もっと小さいころは、どうだっけ……。 この物語の主人公・のぞみは小さい時、自分のことをどうしても、「ぞぞみちゃん」としか言えませんでした。そのころのことは、思い出そうとしても「やわらかな光の向こうに、ぼーっとかすんで、どこかにいたはずののぞみ……考えるととても不思議な気持ちになる」のです。 ところがある日、のぞみの前に「ぞぞみちゃん」と名乗る不思議な女の子が現れます。のぞみがひとりぼっちの時に、どこからか現れるその子は、のぞみにそっくりのうえ、やんちゃで生意気です。 牛乳はこぼす、おもちゃは散らかす(「るすばん」)、のぞみのことをバカだのオタンコナスだのと言う(「動物園」)しで、二人は、会えばケンカです。でも、今度生まれる赤ちゃんは男の子で、名前はハヤトだと知っていたり(「のぞみはおねえさん」)、ぞぞみちゃんはいったい、何者でしょうか。 勝ち気で、ちょっぴり甘えん坊の女の子の、心の成長を描いた楽しいファンタジーです。幼い子の気持ちが子どもの目の高さで生き生きと書かれていて、子供たちの共感を誘うとともに、お母さんが読んでも、思わずほほえんでしまいそうです。小学二、三年から。
(和)=静岡子どもの本を読む会
テキストファイル化天川佳代子 |
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