にわさきのむし しゃがんでみつけた

小林俊樹:文 たかはしきよし:絵
福音館書店

           
         
         
         
         
         
         
    
    

 庭先に転がっている石や置きっぱなしの植木鉢などを、ちょっと持ち上げてみて下さい。そこには、様々なむしたちが寄り添うように生きています。この本は、私たちが最もよく見かける庭先の「むし」十種類を取り上げて、その生きざまを幼児にも分かるように語り掛けてくれる絵本です。
 ダンゴムシ、ワラジムシ、ミミズ、ナメクジ、カタツムリ、ヤスデ、ムカデ……。私の息子は幼いころ、地面にしゃがみこんでは、これらの「むし」に夢中になっていました。「ミミズは何をたべるの?」「この透明な卵、何の卵?」「脚がいっぱいはえている虫、なんていう名前?」
 次から次へと興味がわいて尋ねるのですが、子供たちが普段「むし」と呼んでいる生き物でも、昆虫以外のものが多く、いざ調べようとすると、なかなか骨が折れるのでした。後に、この絵本を初めて手にした時、ああ、もっと早く出会いたかった!と思いました。
 身近な「むし」たちが何を食べ、どんなふうに身を守って生きているのか。子孫を残すために、どんなことをしているのかを、愛情込めて伝えてくれる本だったからです。人が気持ち悪がる「むし」でも、自分のいのちを精いっぱい、生きているのですね。幼児から大人まで。福音館書店。700円(税込み)。
(池)=静岡子どもの本を読む会
テキストファイル化天川佳代子