光の子がおりてきた

ポーラ・フォックス作
平野卿子訳/葉 祥明画 金の星社

           
         
         
         
         
         
         
    
 春らしい光の漲る聖日の礼拝で、隠されたものを明らかにし、それを光に変えるものが光であることを学び(エフェソ五章)、ちょうど読み終わったこの本のことを思い浮かべました。
 ポールは十一歳。もうすぐ七歳になる弟のジェイコブはダウン症です。ポールは弟が生まれた時から、その存在を受け入れることができません。何をするのも超のろのろ、変な声で笑い、ハロウィンのカボチャみたいな顔をした、むかつく弟。なのに両親もおじいちゃんも、太陽の周りをまわる惑星みたいに弟のほうばかり向いている。本当は悩みの種なのに…。皆、弟が「障害」を持っているのを気の毒に思って、優しくしているだけなんだ、とポールは思います。
 ジェイコブのことを忘れたい、考えずにすむようになりたいと思うポールなのに、ある日、アレルギーの注射を受けさせるため、弟を医院に連れて行くことになってしまいます。いやいやながら連れていく途中で、思いがけず多くの町の人びとが、弟に愛をこめてコミュニケートするのに出会うポール。そして七歳の誕生パーティーに「光の子」の仮装で階段を降りてきた弟が、優しくポールの鼻をつまんだ時、はじめてポールは、弟が愛されているのは「障害」のためではないことを知るのでした。
 ポールにいつも本音で語ってくれ、「障害」への理解のために古いイタリア映画『道』を見せたりするおじいちゃんや、悩みながらも惜しみない愛を注ぐ両親の姿がとても印象的でした。
 ポーラ・フォックスは私の好きなアメリカの作家で、『どれい船にのって』『片目のねこ』『フグは海にすむ』など、地味ながら味わい深い長編を本領とし、国際アンデルセン賞も受けています。本書でも、子どもの感受性を通して、仮借なく人間の本当の姿を描きだす、この作者の特徴が出ています。(きどのりこ
『こころの友』2001.04