つりにいこうよ

メアリー=シユ卜ルツ:作/鴻巣友季子:訳
講談社

           
         
         
         
         
         
         
     
 この本の表紙を見て、「読んでみたい!」という気に、私は全然なりませんでした。
 ほかの人はわかんないけど-。
 でも、そう思っちゃう人は多いんじゃないかと思います。
 なのに! これは凄い!
 一年に一冊か二冊、出るか出ないかという大傑作だったんだよ。読んでよかった!
 というわけて読んでない人はみんな、読んでみてね。
 ストーリーは単純で、おじいちゃんと孫の男の子の父子家庭?とはいえないなァ、祖父子家庭?の話です。
 理由は書いてありませんが、たぶん五、六歳になるトマスは、おじいちゃんと猫のリンゴと暮らしているんです。
 そうして表紙を見ればすぐわかリますが、この家族は黒人です。どうやって食べているのか書いてませんが、おそらくわずかな年金でしょう。
 そうして子どもを育てなければならない立場にとって、老人であるという長所は、時間だけはたっぷりあって子どものそばにいてやれる、ということで、短所としては体力がない……ことなんだなあ、ということに、私はこれを読んで初めて気づきました。
 元気のいい子どもにおじいちゃんはそうそう付き合ってられない……。何度もせかされ、ようやく重い腰を上げ、釣りに行き、おじいちゃんは午後昼寝、トマスは外に遊びに行きます。(赤木かん子)
『かんこのミニミニ ヤング・アダルト入門 図書館員のカキノタネ パート1』
(リブリオ出版 1997/09/20)