鳥怪人になった日

前川康男・作 渡辺有一・絵
PHP研究所

           
         
         
         
         
         
         
    
    
 トコトントン、トコトントン…。待ちに待った夏祭りの日になりました。神社の境内には金魚すくい、わたあめ、焼きそば、お面屋さん、いろんな屋台が軒を連ね、たくさんの人が歩いています。
 今年、九歳になる新一(シン)も、待ちに待っていた一人。学校が終わるとすぐに宿題もそっちのけで神社に走って行きました。そこでシンは不思議なお面に出合います。ニワトリみたいな黄色いくちばし、頭の上に青いトサカ、ロボットみたいな銀の顔、そして真っ赤なまるい目…鳥怪人のお面です。
 お面をかぶるとあたりは真っ赤。タイム・マシンで違う世界に来てしまったみたいでした。鳥怪人シンがわたあめを買いにいくと、不思議と一本おまけしてくれました。次に、金魚すくいやると、なんと十三匹もとれました。そして、くじ引き大会では大当たりの連続で…。鳥怪人のお面の威力はまだまだ続きます。
 読みやすい文字と親しみやすい題材がこどもの心をぐいぐいひきつけてくれ、絵本から読みものへ移るのに、おすすめの一冊。
 家族で縁日に出掛け「鳥怪人」のお面を探してみたらいかがでしょうか。もしかすると大当たりになるかもしれませんよ。小学低学年向き。   (静岡子どもの本を読む会)
テキストファイル化佐藤佳世