小さな魚

エリック・C・ホガート・作
犬飼和雄・訳 富山房

           
         
         
         
         
         
         
    
    
 八月は戦争を考える月。
 “戦争”って何。戦争は悪いと知っているけど、でもどうして戦争が悪で、してはいけないの?四十五年前に終わった第二時世界大戦。「小さな魚」は、ドイツ軍に占領されたナポリで孤児になった、三人のこどもたちの物語です。
 たった十二歳のこどものグイドは生きるために、自分の寝床も、飢えをしのぐ食べ物探しも、ぜんぶひとりでする。小さな頭とちえを、一生けんめい使って、ずるがしこいうえに残酷な大人を相手に、浮浪児の仲間たちともわたりあい精いっぱいたたかっていかねばならないのです。
 …ぼくはまず彼女に半リラでどうだろうといおうと考えた。それなら値上げをすることが出来るわけだ。相手が、こちらが考えている以上のお金を要求する時には低い金額をいっておくのがいい。しかしぼくは心配のあまり口をすべらせてしまった。「手伝ってくれれば、一リラやるよ」。彼女はそっぽをむいた。「マットレスは重いわよ」……。
 グイドたちを襲う飢えと孤独と恐怖。大人はなぜ、性懲りもなく戦争を起こすのだろう。戦争をなくすためにどうしたらいいの。この本を読んでそれを考えてみよう。TVでイラクの戦争ニュースが流れています。ほんとうに大人を信頼できるのでしょうか。小学上級から大人も。 (静岡子どもの本を読む会)
テキストファイル化佐藤佳世