セバスチアンからの電話


イリーナ・コルシュノフ:作
石川素子・吉原高志:共訳 福武書店

           
         
         
         
         
         
         
    
    
    
 女の子は、恋愛をすると変わるでしょうか。変わるとしたらどのように?
 主人公のザビーネは、セバスチアンというバイオリンを命より大事にしている男の子と真剣に恋をしています。その彼とけんかをするところから物語は始まります。そしてザビーネは自分が以前なら望まなかった自主性のない女になっていることに気がつきます。
 そのうえ、家を買うという父親の夢のために、経済的にも精神的にもつらい引っ越しをすることにまります。セバスチアンと離れてからザビーネは二人の関係を見つめ直します。そして父の望むようにしか振る舞えない母を励ましながら、自分の心を問い続けていきます。十七歳のザビーネの精神的な自立に誘われるようにして、母親も、まわりも変わってゆきます。
 女性の生き方、家族の関係、社会問題など、盛りだくさんですが、一気に読ませる力と、おもしろさを持った本です。思春期のかたはもちろん、おとなにも読みごたえのある一冊です。
 (弥)=静岡子どもの本を読む会

テキストファイル化山本京子