こちらゆかいな窓ふき会社

ロアルド・ダール:作 クェンティン・ブレイク:絵
清水達也、清水菜緒子:訳 評論社

           
         
         
         
         
         
         
    
    
 街角の古いお店が、ちょっと見ない間に取り壊され、ステキな建物が建ち始めたりすると、ちょっぴりワクワクしてしまいますよネ。ビリーもそうだったのです。昔はお菓子屋さんだったオンボロの建物が、ある日、大変身。何と「ハシゴ不用窓ふき会社」ですって・・・・。
 ビリーがびっくりしていると、三階の窓からキリンが顔を出して、まつげバシバシの大きな目で見下ろし、隣の窓には、オレンジ色の水鉢形のくちばしのペリカンが。二階の窓からは、針金に毛がはえたような、やせっぽちのサルが一匹。これが、この会社のスタッフだったのです。
 初仕事のハンプシャー公爵家は大金持ちで、五階建ての大きな家には窓が六百七十七もあります。いくら首の長いキリンがいても、五階までは無理かなと思いきや、どんなに高い窓も、彼らにとっては関係なし。素晴らしい仕事ぶりです。
 でも私は、彼らは窓ふきより探偵の方がいい、と思いますよ。この物語を読めば、だれだって、そう思うんじゃないかしら。それにしても、ゼラネアスキリンなんて、動物図鑑に出てましたっけ?
 ペン画タッチの絵も楽しく、ダールファンには懐かしい工場の名前も、チラッと出てきます。独特の空想力と軽快なテンポが魅力の、ダールの新作です。
 訳者は清水市在住。珍しい、父娘共訳です。
(和)=静岡子どもの本を読む会
 テキストファイル化清水真保