子ども俳句歳時記

監修:金子兜太
沢木欣一 蝸牛社

           
         
         
         
         
         
         
    
    

 人は自分に気持ちが溢(あふ)れるとき美しいことばを口にする。おもいがいっぱいになってもどかしいように言葉を発したとき詩になる。だから「こども」のことばはいつも詩なんだ。全国の園児・小中高の児童生徒の俳句八十万余から約千五百句。
この本が初めて編まれた。―歳時記。 日本の自然。くらし。―こどもたちもまた。
 春の日にルルルルルルルランランラン(中3)/なの花をカメラのなかにとじこめる(小4)/廃校に咲く花ありて誰も見ず(中2)/こどものつばめはひとりでそらへとびました(保育)/赤とんぼ我は成績不振なり(中1)/少年のごとくに父の豆をまく(高2)/やっぱり好きな稲の香母のもんぺ洗う(高3)/出張の父にかわって墓まいり(小6)/農学部と進路きまりて稲を刈る(高2)/自分へはうつむきこけし買った旅(高3)/弟と少し不安な夏の旅(小6)/あじさいの庭まで泣きにいきました(小6)/わたり鳥いまもどこかで戦争が(小6)
 こどもの目がページごとに光っているこの本。鑑賞・俳人の例句・教科書の俳句解説と勉強もできる。
 (仁)=静岡子どもの本を読む会
テキストファイル化山本京子