牛乳でつくる


家庭科教育研究者連盟編・大月書店


           
         
         
         
         
         
         
         
    
 『米でつくる』『小麦粉でつくる』『いもでつくる』『豆でつくる』『たまごでつくる』と続いてきたこの「たべもの教室」、『牛乳でつくる』で第一期全六巻がでそろいました。このシリーズ、はっきりいってお勧めです。
 最近出回っている、変に専門的な料理書とちがって、基本に徹しているのが特色。それぞれの素材についての基本的な知識をいろいろ紹介しながら、基本的な調理方をやさしく図解してあるのです。 たとえば、『牛乳でつくる』では、ホワイトソースの作り方や、ニンニクと野菜と牛乳で作る本格的なスペインのスープであるガスパチョの作り方、生クリームからバターを作る方法、牛乳から簡単にチーズを作る方法まで紹介されているし、それと同時にチーズやバターやマーガリンなどの歴史にもふれてあるし、さらに搾乳、集乳、検査、清浄化、貯乳、殺菌、均質化、容器詰め、そして店頭へという、「牛乳」が一般の人の手にはいる経路まで、わかりやすく説明されているし、低温殺菌と超高温殺菌のちがいについての説明もあって、とにかく小学生からおとなまで、だれもが楽しめる好企画です。
 それにしても「デンマークなどでは、LL牛乳は『乳児、幼児には飲ませてはならない』という表示が義務づけられています」という箇所では思わずドキッでした。(金原瑞人

朝日新聞 ヤングアダルト招待席 1988/06/26