イグアナくんのおじゃまな毎日

佐藤 多佳子・作
偕成社 1997

           
         
         
         
         
         
         
     
 樹里が「生きた恐竜ならほしい」と言ったばかりに、小竹一家は、一メートルのグリーンイグアナを飼うはめになる。
 英語教師と専業主婦と小学生の快適な三人家族。改築したてのサンルームが自慢だった。それがイグアナ一匹で見事にくずれ、毎日、夫婦喧嘩や親子ゲンカが絶えなくなってしまう。
 飼いたくもないイグアナの世話を押しつけられ、ミスをしたり文句を言えば父親に殴られるなんて、最悪。自慢のサンルームをクラスメートに見せたかったのに、イグアナを飼っているなんて知られたくない。それなのにクラスメイトにばれてしまいクラスでからかわれる。イジメにまで発展しそうだったが、すんでのところで、樹里が好意をよせている帰国子女の日高くんの一言で救われる。
 ペットとして爬虫類の人気は高くなっているらしいが、まだまだ一般的に人気があるわけではなく、診てくれる獣医もまれ。そんなイグアナは何も悪いことをしていないし、本人の意思で飼われているわけでもない。子どものイグアナはほとんど飼われても死んでしまうという。イグアナをめぐるゴタゴタは読んでいて面白く、イグアナをだんだん親身に思い、家族の一人一人が変わり、イグアナを手放せなくなるのは感動的だ。
 見た目に非常に異質と思えるものでも、心が触れ合い、かけがいのない存在になれるんだと胸が熱くなった。
 一文、一文が短く、文末にひっかかるようなところがあり、頻繁な行変えのある空白の多いページ。初めはとっかかりにくいが、慣れると音読したくなるような、リズム感のある著者独特の文体。
 全編を通じてイグアナの静かで物に動じない存在が芯にあるのが感じられ、それが作品に落着きとあたたかさをさらに加えている。(石川喜子
読書会てつぼう:発行 1999/01/28