エロイーズ

ケイ ・トンプソン/ 文  ヒラリー ・ナイト
絵 井上荒野/ 訳 メディアファクトリー 2001

           
         
         
         
         
         
         
    

 『エロイーズ』はちょっとばっかり奇妙な本です。といってもオカルトってわけじゃないよ。でもね、親たちには、特にお母さんたちにはウケないだろうなあ、と思うの。子どもたちはたぶん熱狂してくれるだろうと思うんだけどね。
 エロイーズはただ今六才、ニューヨークの超一流ホテルの最上階のスイートルームに住んでいます。ようするに超大金持ちの子どもなの。一緒にいるのはナニー(乳母)とペットのカメ。お母さんはしょっちゅうパリだ、ロンドンだ、と忙しく、エロイーズはめったに会えません。 
 でも平気なの ! 
 エロイーズはそのホテルの名物の、こまっしゃくれたおしゃまさん。
 いたずら電話はするわ、エレベ−ターで遊ぶわ、廊下はドタバタはねまわるは・・・・・・で、ホテルとしたら困ったお客さんのはずなんですが・・・・・・。みんな大人なのよねぇ、このホテルの人たちって___。 一人一人がきちんとエロイーズを受け止めてくれていて、ようするにホテル全体でエロイーズを育ててくれているわけよ。でもってホテル方も、エロイーズがいるおかげで、きっちりひとつにまとまっている、みたいな__。
 ゛いくらお金があってもねぇ、あんな育ち方じゃかわいそう・・・
 ねたみついでの陰口だって、時にはエロイーズの耳に入るでしょう。それがわからないほどこの子はバカじゃないわけで、一見お気楽そうにみえるこの暮らしも、実はエロイーズの負けん気と必死のがんばりで、できあがっているわけです。子どもたちはその生命力を感じとって、彼女に拍手喝采を贈るでしょう。
 大人の方にも、エロイーズに拍手を贈れるだけの洞察力が残っていることを祈ります。(赤木かん子
テキストファイル化佐藤美惠子