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![]() いい勢いで次々出版されて、うれしい。 今回は日本編である。 『ちいさいモモちゃん』から『ぶらんこ乗り』までの時間の幅と、『六番目の小夜子』や『GO』への射程の広がりがある。 と同時に、そうした幅と広がりの中でセレクトされた作品群を眺めていると、案外スタンダードなものが配置されているのが、おもしろい。「え?、なんで、これが入ってるの?」的、驚きはない。安定感がある。 それはおそらく予め意図された結果ではないだろう。結果としての結果だと思う。 この辺りが集団でするセレクトの難しさだろうか。それとも、どうセレクトしてもそう見えてしまう時代なんだろうか? 『ほんとうはこんな本が読みたかった』『だから読まずにいられない』、そして本書は、監修者の神宮輝夫、野上暁(は本書のみ参加)も執筆しているとはいえ、主に今三〇代である著者たちが、子どもの頃から現在までに読んできた中からの、オススメ本である(野上の「おわりに」を参照されよ)。これはセレクトに当たってのフィルターとなる。が、そのことを踏まえることで、この三冊は権威を持った定本とはならず、今こそヴィヴィットな書物として活かすことができるだろう。その意味で、帯にある河合隼雄の推薦文は無視していい。 子どもよりむしろ大人の読者で、ここに挙げられている作品の未読のものを読んでみることは、決して損ではない。 |
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