暗くなるまで夢中で読んで
日本の子どもの本の現在セレクト62

神宮 輝夫監修
野上 暁監修
上原 里佳・神戸万知・鈴木宏枝・横田順子著
原書房 2002

           
         
         
         
         
         
         
    
 『ほんとうはこんな本が読みたかった』『だから読まずにいられない』に続く、第3弾。このベタなタイトルが結構、癖になります。
 いい勢いで次々出版されて、うれしい。
 今回は日本編である。
 『ちいさいモモちゃん』から『ぶらんこ乗り』までの時間の幅と、『六番目の小夜子』や『GO』への射程の広がりがある。
 と同時に、そうした幅と広がりの中でセレクトされた作品群を眺めていると、案外スタンダードなものが配置されているのが、おもしろい。「え?、なんで、これが入ってるの?」的、驚きはない。安定感がある。
 それはおそらく予め意図された結果ではないだろう。結果としての結果だと思う。
 この辺りが集団でするセレクトの難しさだろうか。それとも、どうセレクトしてもそう見えてしまう時代なんだろうか?

 『ほんとうはこんな本が読みたかった』『だから読まずにいられない』、そして本書は、監修者の神宮輝夫、野上暁(は本書のみ参加)も執筆しているとはいえ、主に今三〇代である著者たちが、子どもの頃から現在までに読んできた中からの、オススメ本である(野上の「おわりに」を参照されよ)。これはセレクトに当たってのフィルターとなる。が、そのことを踏まえることで、この三冊は権威を持った定本とはならず、今こそヴィヴィットな書物として活かすことができるだろう。その意味で、帯にある河合隼雄の推薦文は無視していい。
 子どもよりむしろ大人の読者で、ここに挙げられている作品の未読のものを読んでみることは、決して損ではない。