意見・要望

社団法人 日本書籍出版協会
2008.06.26

 当協会は去る3月31日付で大阪府立国際児童文学館の存続要望書を大阪府知事宛に提出し、また、5月1日には当協会の小峰理事長が三輪副知事に直接お会いして存続を要望しましたが、『大阪維新』プログラム(案)では、非常に厳しい提示がなされています。

 国際児童文学館は子どもの本の資料・情報・研究センターとして24年間にわたり子どもと本をつなぐ研究や実践活動を展開してきました。児童文学資料70万点の蔵書をベースにした児童文学研究、読書活動研究、児童書検索システムの開発などの事業や活動はユニークで、資料の整理方法やシステムにおいて図書館とは大きく異なる高度な研究機能をもち、その研究成果は読書推進活動を進めている市民の指針となり、研究資料としても、国内はもとより国際的にも活用されて大きな役割を果たしてきました。

 当協会所属の会員出版社はこの趣旨に賛同し、設立以来、要請に応えて発行図書の寄贈などの支援を行ない、その発展に尽力してまいりました。出版社がこのような形で寄贈しているのは、全国で国際児童文学館だけです。

 こうした立場からも、設立趣旨の大きな変更につながる今回の「図書館との統合」は看過できない問題であり、これによって、図書館とは異なる国際児童文学館がもつ独自の機能とこれまでの蓄積が無に帰すことを危惧します。

●大阪府に望むこと

 行政の継続性、公の責任を考えていただきたい。

 当協会所属の出版各社は、設立主旨と役割に大きな期待を寄せ、大阪府と同館の要請に応えて本の寄贈等の支援をしてきました。

 国際児童文学館は「官民協働」の仕組みを構築している先行事例です。

 同館の実質的な事業費約3億円(企業の協賛事業費等を含む)のうち、3分の1は民間等によるものであり、人的、知的な協働作業など支援・協力によって運営されています。

 5年後、10年後を考えていただきたい。

 「大阪の未来をつくる」中に、子どもの未来に特段の配慮をいただきたい。

 国内、国際的な観点から国際児童文学館の意義を考えていただきたい。

 府民、国民の貴重な財産です。

 わが国の児童文学研究、読書推進活動の中核施設である大阪府立国際児童文学館の施設の存続と財団法人大阪国際児童文学館の運営の継続を切に要望します。